横浜市地域生活支援拠点機能構築のための連携ガイドライン

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目次
0 地域生活支援拠点とは何か
1 拠点機能 ①相談
2 拠点機能 ②緊急時の受入れ・対応
4 拠点機能 ③体験の機会・場の提供
4 拠点機能 ④専門的人材の確保・育成
5 拠点機能 ⑤地域の体制づくり

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本ガイドライン 通称「地域生活支援拠点ガイドライン」は、「全世代・全対象型地域包括支援体制」の構築に向けた障害福祉分野の取組の一つである地域生活支援拠点についてまとめたものです。
本ガイドラインの利用対象者は、地域の皆さん全員です。横浜市の皆さんが連携し、障害のある方を地域全体で支えるサービス提供体制を確立させます。
本ガイドラインは必要に応じて見直しを行っていく予定です。

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0 地域生活支援拠点とは何か
障害のある方を地域全体で支えるサービス提供体制

(1)横浜市における地域生活支援拠点=既存資源のネットワーク型による整備
・地域生活支援拠点とは、障害のある方の高齢化を踏まえた「親亡き後」の備え、入所施設や精神科病院からの地域移行等を推進するために、障害のある方を地域全体で支えるサービス提供体制の構築が目的です。
・本市では、区福祉保健センター、基幹相談支援センター、精神障害者生活支援センターの3機関一体の運営によって、既存のあらゆる社会資源を有機的につなぎ、地域生活支援拠点をネットワーク型で整備します。つまり、障害福祉サービス事業所に限らず、地域の皆さん全員が地域生活支援拠点の主体者です。
・将来的には、障害のある方のめざす生活の実現のために、自立支援協議会を基盤とした関係機関の連携によるネットワークを構築するとともに、地域ケアプラザ等と連携し、障害福祉分野を超えた多様な社会資源とつながり、あらゆる方が地域社会で安心して暮らせる「全世代・全対象型地域包括支援体制」の構築につなげます。
※障害のある方本人の意思決定を基に、地域全体で本人のめざす生活の実現を支えていくことが基本です。その要素に地域生活支援拠点機能も内包されます。

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(2)地域生活支援拠点の主な対象者=サポート力の弱い方
障害種別を問わず、全ての障害のある方が対象ですが、本人及び家族などによるサポート力が弱い方を想定しています。

(3)地域生活支援拠点機能=5つの居住支援機能
・地域生活支援拠点は、以下の5つの居住支援機能を備えています。

①相談 
具体的な内容
緊急時の支援が見込めない世帯を事前に把握した上で、常時の連絡体制を確保し、障害の特性に起因して生じた緊急の事態等に必要なサービスのコーディネートや相談その他必要な支援を行う。
本市における主な既存の社会資源
・指定特定相談支援事業所
・指定一般相談支援事業所
・一次相談支援機関(3機関を除く)
・3機関(区、基幹、生活支援)

②緊急時の受入れ・対応
具体的な内容
短期入所を活用した常時の緊急受入体制等を確保した上で、介護者の急病や障害のある方の状態変化等の緊急時の受入れや医療機関への連絡等の必要な対応を行う。
本市における主な既存の社会資源
・短期入所事業所
・障害者支援施設
・障害者地域活動ホームのショートステイ
・医療機関(精神科病院、メディカルショートステイ)

③体験の機会・場の提供
具体的な内容
地域移行支援や親元からの自立等に当たって、共同生活援助(グループホーム)等の障害福祉サービスの利用や一人暮らしの体験の機会・場を提供する。
本市における主な既存の社会資源
・日中活動系サービス事業所
・共同生活援助事業所
・1人暮らしの住居(新たな住宅セーフティネット制度等)

④専門的人材の確保・育成
具体的な内容
医療的ケアが必要な方や行動障害を有する方、高齢化に伴い重度化した障害のある方に対して、専門的な対応を行うことができる体制の確保や、専門的な対応ができる人材の育成を行う。
本市における主な既存の社会資源
・二次相談支援機関
・区自立支援協議会

⑤地域の体制づくり
具体的な内容
地域のさまざまなニーズに対応できるサービス提供体制の確保や、地域の社会資源の連携体制の構築等を行う。
本市における主な既存の社会資源
・障害者自立支援協議会(区、ブロック、市)

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(4)本市における整備経過
・令和元年度から地域生活支援拠点機能の整備に取り組みました。
・全機能の充足に向けては、市域及び区域で役割分担をしながら、計画的に既存の社会資源のネットワーク化を図るとともに、基幹相談支援センターの増員及び精神障害者生活支援センターの体制整備を行い、令和2年度から全機能が稼働しました。

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コラム:国の動向
「地域共生社会」の実現に向けた支援体制として、「全世代・全対象型地域包括支援体制」の構築が謳われ、その一つの機能である居住支援機能の充足に係る取組として「地域生活支援拠点等の整備」が掲げられました。また、地域生活支援拠点機能に重複するものですが、精神障害の取組を意識化させるために、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」がさらに掲げられるに至り、いずれも「障害者自立支援協議会」の活用を意識した設計がされています。

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コラム:精神障害にも対応した地域包括ケアシステム
精神障害のある方が、地域の一員として安心して自分らしい生活を送ることができるよう、医療、障害福祉・介護、住まい、社会参加、地域の助け合い、教育が包括的に確保された地域包括ケアシステムの構築を目指す取組です。
本取組は、地域生活支援拠点機能(主に⑤地域の体制づくり)に重複するものですが、精神障害のある方に焦点をあて、地域移行・地域定着に向けて重点的に取り組みます。
本市では、令和2年度に全区の自立支援協議会に医療、保健、福祉の関係者による協議の場を設置しました。

コラム:3機関(区、基幹、生活支援)の役割
地域生活支援拠点は、既存の社会資源を有機的につなぎ合わせて整備するものです。たとえば、②緊急時の受入れ・対応については、短期入所事業所、障害者支援施設、社会福祉法人型障害者地域活動ホーム、医療機関等と役割を分担し、緊急事態に対応できる体制の構築につなげます。このうち、区福祉保健センター、基幹相談支援センター、精神障害者生活支援センターの3機関は全体調整役を担うものであり、3機関定例カンファレンスや区自立支援協議会等を活用し、適宜状況の確認と調整を実施します。

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拠点機能 ①相談
将来を見据えて予防的に取り組む/緊急時の支援体制を整える

(1)相談機能とは
・緊急時の支援が見込めない世帯を事前に把握した上で、常時の連絡体制を確保し、障害の特性に起因して生じた緊急の事態等に必要なサービスのコーディネートや相談その他必要な支援を行う機能です。

(2)横浜市における運用
ア 緊急時予防・対応プランの作成と予防的取組の実施 ※9ページ参照
(ア)緊急時の支援が見込めない世帯について、主たる相談支援事業所(指定特定相談支援事業所、一次相談支援機関等)が緊急時予防・対応プランの作成と予防的取組を実施
(イ)緊急時の支援が見込めない世帯で主たる相談支援機関がない場合は、区福祉保健センター、基幹相談支援センター、精神障害者生活支援センター(以下、「3機関」という)のいずれかの機関が担当し、緊急時予防・対応プランの作成と予防的取組を実施

障害のある方や家族に日ごろから関わっている身近な方(近隣住民、ヘルパー、通所先職員など)は、緊急時の兆候やSOSを敏感にキャッチすることが重要です。

イ 主たる相談支援事業所閉所時の対応体制の確保
(ア)主たる相談支援事業所閉所時における対応体制の確保が必要な方の場合には、指定一般相談支援事業所につなぎ、地域定着支援制度を活用

地域定着支援では、単身等で生活する障害のある方に対し、常時の連絡体制を確保し、緊急事態が生じた際に、連絡調整や訪問など必要な支援を行うサービスです。

(イ)地域定着支援制度の活用が難しい場合で、かつ主たる相談支援事業所閉所時における対応体制の確保が必要な方の場合は、基幹相談支援センター等の関係機関と連携

コラム:将来を見据えた予防的取組
家族介護・同居を前提とせず、障害のある方の地域生活を継続するという視点での取組が求められます。平成30年度には、地域生活を支援する新たなサービスとして自立生活援助や就労定着支援が創設されました。これらの新たなサービスをはじめ、既存の社会資源を活用し、支援体制を構築するとともに、将来を見据えた暮らしのイメージづくりや住宅設定の支援等に取り組むことが重要です。
・自立生活援助:本人の意思を尊重した地域生活を支援するため、定期的に居宅を訪問し、必要な助言や関係機関との連絡調整等を行います。
・就労定着支援:就労に伴う生活面の課題に対応できるように、企業や居宅等への訪問などを通して、必要な助言や企業等との連絡調整等を行います。

コラム:横浜市後見的支援制度(見守りの仕組み)
横浜市後見的支援制度とは、障害のある方が住み慣れた地域で安心して暮らしていくために、地域の方(あんしんキーパー)の協力を得ながら、定期的な訪問や日常の見守り等を実施する“見守り”の仕組みです。直近における緊急時支援の可能性は低いものの、将来の希望や漠然とした不安などの相談がある場合には、横浜市後見的支援制度等既存の社会資源を活用します。なお、後見的支援制度を利用している場合においても、緊急事態が直近で生じうる可能性のある方は、必要に応じて相談支援事業所につなぎます。

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緊急時予防・対応プランの作成対象者像とサービス等利用計画との関係性
緊急時予防・対応プランの作成対象者として、障害のある方本人の状態が不安定になったり、同居家族が急病等になったりするリスクが高く、かつそれらの事態に対する必要なサポートを得ることが難しい世帯(=緊急時の支援が見込めない世帯)を想定しています。計画相談支援を利用している場合には、緊急時の予防・対応も勘案しながらサービス等利用計画を作成しますが、この緊急時予防・対応プランでは緊急時に特化し、より具体的な対応内容を端的にわかりやすく記載・共有することが特徴です。緊急事態を予防できるように、また緊急事態に陥った場合であっても迅速に対応できるように、緊急時予防・対応プランを適宜作成していくことが重要です。

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拠点機能 ②緊急時の受入れ・対応
居宅での支援体制及び居宅以外での受入れ体制を整備する

(1)緊急時の受入れ・対応機能とは
・短期入所を活用した常時の緊急受入体制等を確保した上で、介護者の急病や障害のある方の状態変化等の緊急時の受入れや医療機関への連絡等の必要な対応を行う機能です。
(2)横浜市における運用
・居宅においてその介護を行う者の急病等が生じた際には、主たる相談支援事業所が下記の対応を行います。主たる相談支援事業所がない場合には、まずは3機関で対応し、その後指定特定相談支援事業所等に引き継ぎます。

ア 居宅での生活の継続に向けた調整
・障害のある方が安心して過ごすことができるように、まずは居宅での生活の継続に向けた調整を行います。
①相談機能において、緊急時予防・対応プランを作成し、そのプランに基づく迅速な調整を行います。

イ 居宅での生活継続が困難な場合には、緊急受入れ先の調整
(ア)利用歴の有無に関わらず、短期入所等の受入れ調整を実施

緊急の受入れが必要になることが想定される場合には、日頃から短期入所の体験的な利用を試みることが必要です。その場合には、①相談機能と連動させ、【サービス等利用計画及び緊急時予防・対応プラン作成⇒予防的取組の実施/短期入所の体験的な利用⇒緊急事態発生⇒短期入所の受入れ調整】等の取組が求められます。
なお、緊急受入れ調整に際しては、医療情報をはじめ、①服薬状況、②発作の有無、③医療的ケアの有無
などの情報共有が不可欠です。それらの状況を確認した上で、短期入所事業所等と連絡・調整を行います。

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本市では、下記の短期入所事業所に緊急時の受入れ依頼を行っています。緊急受入れ調整が必要な際の調整候補の一つとなります。
【対象事業所】十愛病院、くるみ学園、奈良障害者ショートステイセンター

(イ)短期入所等での受入れが困難な場合、社会福祉法人型障害者地域活動ホーム(以下、「法人地活」という)のショートステイでの受入れ調整を実施

法人地活のショートステイの緊急利用
法人地活のショートステイを緊急で利用するには、下記の利用要件を全て満たすことが必要です。
a主に介護を行う者が疾病、緊急入院、失踪、死亡した場合等の真にやむを得ない事情により、居宅で介護を受けることができない状態であること
※レスパイトや冠婚のように計画的利用が見込まれるものは除きます。
b利用開始日の前々日、前日、または当日に当該事業所へ利用連絡があった場合であること
上記の利用要件を満たす場合には、併せて下記の条件も確認したうえで、調整を行います。
・原則として利用希望者の居住区の法人地活での受入れ調整を行います。
・利用日数の上限は、連続7日以内です。

【利用例】
主たる介護者である両親のうち、父が緊急入院した。母も持病があり、一人では障害のある子の生活の維持が困難である。

(ウ)医療対応が必要な場合、精神科病院、メディカルショートステイ、難病患者一時入院事業等の利用調整を実施

国際親善病院に入所する「緊急一時保護制度」もあります。メディカルショートステイ、難病患者一時入院事業、緊急一時保護制度の調整に際しては、区福祉保健センターに連絡します。
また、本市では、精神障害のある方とその家族等の安定した地域生活の継続を目的とした「精神障害者の家族支援事業」において、家族を対象にした緊急滞在場所を提供しています。本事業の利用についても区福祉保健センターが窓口となります。

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ウ 緊急受入れ期間中に在宅復帰に向け、サービス利用調整等の支援を実施

上記の(ア)~(ウ)いずれの対応を行った場合においても、主たる相談支援事業所は、緊急受入れ後速やかに今後の方向性等を検討するための会議を開催し、その後の支援につなげることが必要です。

エ 緊急受入れ終了後のフォローを実施

短期入所事業所等の受入れ施設の役割
地域で安心できる生活を送るためには、緊急時に受入れてくれる場が必要であり、短期入所事業所等の受入れ施設の協力が不可欠です。平成30年度の障害福祉サービス等報酬改定においては、その重要性を鑑み、緊急の受入れ・対応を重点的に評価するため、緊急短期入所受入加算の算定要件の見直しを行うとともに、単位数が引き上げられました。
また、「緊急時」という局面を勘案し、定員を超えて受入れた場合には、期間を区切った上で、特例的に加算をするとともに、その間は定員超過利用減算を適用しないこととされました。さらに令和3年度の報酬改定では「市町村が地域生活支援拠点等として位置付けた短期入所事業所について、地域生活支援拠点等として緊急時の受入対応等の役割を担うことを評価する加算」が創設されました。(緊急時の受け入れに限らず評価)
緊急時も迅速に対応できる体制を整えます!


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3 拠点機能 ③体験の機会・場の提供
本人のニーズに合った体験の機会・場を確保する

(1)体験の機会・場の提供機能とは
・地域移行支援や親元からの自立等に当たって、共同生活援助(以下、「グループホーム」という)等の障害福祉サービスの利用や一人暮らしの体験の機会・場を提供する機能です。

(2)横浜市における運用
・主たる相談支援事業所は、障害のある方のニーズに合った体験の機会・場の設定を支援します。
・各区の基幹相談支援センターは、区内のグループホームや日中活動系サービス事業所等の情報を集約し、その情報を相談支援事業所等に提供することで、体験の機会・場を探すお手伝いをします。

基幹相談支援センターでは、体験利用の可否や利用者の障害種別・障害の程度・年齢層をはじめ、各事業所の特色等の情報を収集します。

・1人暮らしの体験の機会・場については、地域移行支援事業の取組等により、充足を図ります。

障害福祉サービス事業所の役割:機会・場の提供
障害のある方の地域での生活の実現もしくは発見(意思決定支援)のためには、体験の機会・場が担保されていることが不可欠です。平成30年度の障害福祉サービス等報酬改定においては、その重要性を鑑み、地域移行支援に係る日中活動系サービスの体験利用、地域移行支援に係る体験宿泊、施設入所支援利用者の体験宿泊に係る加算が見直しされました。各サービス事業所においては、本加算を活用しながら、積極的にかつ柔軟な体験の機会・場を提供することが求められます。
障害のある方に必要な機会・場を提供します!

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障害福祉サービス事業所の役割:情報提供
本市では、基幹相談支援センターにおいて、体験の機会・場の提供に際して必要な事業所情報を集約します。それにあたり、各区では、年に1回程度、区内の障害福祉サービス事業所等が集う連絡会を開催するとともに、既定のシートへの事業所情報の記入及び更新を依頼します。障害福祉サービス事業所は、基幹相談支援センターによる情報集約に協力し、障害のある方が必要な体験の機会・場にアクセスできることを担保します。
障害のある方に必要な情報を届けられるようにします!

コラム:暮らしの場(めざす生活)の選択と意思決定支援
障害者総合支援法においては、障害のある方が「どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保」される旨を規定し、指定事業者や指定相談支援事業者に対し、「意思決定支援」を重要な取組として位置づけています。暮らしの場の選択にあたっては、「体験」の有無が大きく影響を与えるものであり、体験を通じて本人が選択できたり、体験中の様子から本人の意思の推定が可能となることもあります。つまり、本機能によるグループホームや一人暮らしの体験の機会・場を充実させることは、障害のある方の暮らしの場の選択肢の広がりにつながります。
なお、暮らしの場の選択にあたっては、日中活動先(勤務先)を考慮した上で設定することが本来的です。障害の有無に関わらず、日中活動先と暮らしの場を一体的に考え、その充実に向けて体験の機会・場を確保することが重要です。

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コラム:一人暮らしの実現に向けた支援
一人暮らしを希望する方の支援について、下記のような事業を実施しています。また、1人暮らしに移行した方への支援として、地域定着支援や自立生活援助、障害者自立生活アシスタント事業等のサービスがあります。
・宿泊型自立訓練:居住の場において生活能力等の維持・向上のための訓練等を実施します。
・サポートホーム事業:発達障害のある方の一人暮らしに向けた準備を支援します。
・住宅セーフティネット制度:空き室・空き家を「住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅」(セーフティネット住宅)として登録することで、スムーズに新たな住宅を探し出し、居住支援を行います。

コラム:障害者支援施設(入所)からの地域移行の取組
本市では、地域生活支援及び重度障害者支援の視点から障害者支援施設が担う役割・機能やあり方について検討を進めています。障害のある方の意向に沿った地域生活への移行が可能となるよう、市内全障害者支援施設で運用している地域移行アセスメントシート等の取組を含め、障害者支援施設からの地域移行に向けた必要な取組を検討・実施していきます。
なお、障害者支援施設からの地域移行は、障害者支援施設と基幹相談支援センターを中心に、指定特定・指定一般相談支援事業所等と連携し取り組みます。

コラム:精神科病院からの地域移行の取組
本市では、精神障害にも対応した地域包括ケアシステム(6ページ参照)の構築の中で、精神科病院からの地域移行の仕組みづくりに取り組んでいます。従来から精神障害者生活支援センターが実施している「横浜市精神障害者退院サポート事業」を柱としながら、医療・保健・福祉の連携体制を強化させ、より一層の地域移行を促進させます。

4 拠点機能 ④専門的人材の確保・育成
支援者の育成・スキルアップを図る

(1)専門的人材の確保・育成機能とは
・医療的ケアが必要な方や行動障害を有する方、高齢化に伴い重度化した障害のある方に対して、専門的な対応を行うことができる体制の確保や、専門的な対応ができる人材の育成を行う機能です。

(2)横浜市における運用
・区域では、区自立支援協議会での研修等の取組を継続します。
・市域では、二次相談支援機関を中心に、研修の開催等を継続します。

二次相談支援機関とは、3機関をはじめとした一次相談支援機関を支える機関です。支援の難しいケースにおけるチームの一員として、見立てや対応方法等の検討を支援したり、研修の開催等による人材育成に取り組んでいます。
【二次相談支援機関:13機関】
横浜市障害者更生相談所、横浜市こころの健康相談センター、横浜市総合保健医療センター、横浜市総合リハビリテーションセンター、十愛病院、横浜医療福祉センター港南、てらん広場、花みずき、青葉メゾン、光の丘、横浜市発達障害者支援センター、学齢後期発達相談室くらす、小児療育相談センター

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障害福祉サービス提供事業所等の役割
平成30年度の障害福祉サービス等報酬改定においては、拠点等における専門的人材の確保・育成の機能を強化する観点から、手厚い体制や個別特性に対応する支援の評価として、重度障害者支援加算を生活介護に創設しました。さらに、指定特定相談支援事業所等に対しても、その専門性の高い相談支援体制を評価するために、行動障害支援体制加算、要医療児者支援体制加算、精神障害者支援体制加算が新設されました。
障害福祉サービス事業所をはじめ、障害のある方の支援に携わる皆さんは、常に自己研鑽に励み、支援の質の向上を通して、障害のある方のめざす生活の実現を支えていくことが求められます。そのためにも、市域での多様な研修を受講するとともに、各区自立支援協議会に積極的に参画し、自身だけではなく、地域の人材育成を担うことが期待されます。
自ら学び、自ら育ち、そして地域の中で育て合います!

コラム:発達障害者支援センターの地域支援マネジャー
本市では、発達障害者支援センターに地域支援マネジャーを配置し、自閉症・発達障害の支援に困難を抱える障害福祉サービス事業所等の職員に対してコンサルテーションを実施しています。また、自閉症を中心とする発達障害・行動障害の特性理解や支援技術向上のための強度行動障害支援者養成研修等も実施し、地域の支援力の向上を図っています。

コラム:区障害者自立支援協議会相談支援部会での取組
本市では、全区の障害者自立支援援協議会に相談支援部会を設置しており、相談支援専門員をはじめとした相談支援従事者の人材育成に取り組んでいます。相談支援従事者の立場から、障害のある方本人の意思決定を基にした「本人を中心とした支援」を実践できているかどうかを振り返り、本人のめざす生活の実現につなげていきます。

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拠点機能 ⑤地域の体制づくり
障害福祉分野を超えて、地域のあらゆる資源を活用する

(1)地域の体制づくり機能とは
・地域のさまざまなニーズに対応できるサービス提供体制の確保や、地域の社会資源の連携体制の構築等を行う機能です。

(2)横浜市における運用
・区障害者自立支援協議会、ブロック連絡会、市障害者自立支援協議会を連動させながら、地域の多様な社会資源(商店街、レストラン、ボランティア等)と連携し、障害のある方を地域全体で支えるサービス提供体制の構築につなげていきます。

障害者自立支援協議会とは、障害者総合支援法第89条の3に規定されている「協議会」のことであり、地域における障害のある方への支援体制の整備等について協議を行う場として、まさしく地域生活支援拠点機能の整備の柱となるものです。
本市では、各区で開催する“区障害者自立支援協議会”、区障害者自立支援協議会の事務局で開催する“ブロック連絡会”、市域で開催する“市障害者自立支援協議会”の3層構造で実施しています。

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障害福祉サービス提供事業所等の役割
地域づくりの基盤は区障害者自立支援協議会であり、その主体は地域の皆さんです。地域の状況を踏まえ、地域の力を総動員させながら、地域の熟成を図っていきます。その中で、区域を超えて市域での議論が必要な課題については市障害者自立支援協議会に報告し、横浜市全体で検討します。
地域づくりの主体として、積極的に区障害者自立支援協議会に参画します!

コラム:地域の体制づくりは「地域とのコミュニケーション」
本機能は、特別なことではなく、日ごろの関わりの延長線上にあるものです。日頃の何気ない挨拶から始まり、カフェの運営や地域のお祭りなどを通して、地域とのコミュニケーションにより築かれていきます。例えば、ある区の精神障害者生活支援センターでは、毎年町内会と合同で夏祭りを開催し、地域の子どもたちと障害のある方との楽しい交流の機会を設けています。

平成31年3月発行、令和3年4月改訂 横浜市健康福祉局障害福祉保健部